遺され村の美術展





アンソロポロジカルアートプロジェクト
(鈴木伸二・奥田美紀)



作品紹介



イチモンタモレ


葛川細川では、かつてイチモンタモレという正月行事がありました。村の子供たちが境内を清掃し、正月の初詣に訪れる大人たちからお年玉をもらうという行事です。その際、小さな袋をもって、そこにお年玉を入れてもらったそうです。今は行われなくなったイチモンタモレを再現したのがこの作品ですが、陶土の袋には細川の屋号が書き込まれています。子供達が神社に集まり、清掃の途中についつい遊んでしまっている光景を想像しました。遊んでしまっている子供たちの代わりに白い箒や熊手を使って清掃してみませんか。



セキノフダ


葛川では村境に愛宕神社のお札を貼る風俗があります。葛川の歴史をみると、鎌倉時代から戦国時代にかけて、周辺の村落との境界争いが長く続きました。きっと、こうした歴史的な背景から生まれたものがセキノフダだったのでしょう。そこで、葛川明王院に残されている中世文書(裁判記録)から、葛川の境界争いに関するものをすべて調べ、争いのあった年を愛宕札に書き込んで杉の木に貼りつけました。



葛川住人帳


葛川明王院には平安末期から江戸初期にかけて書かれた古文書が大量に残されています。
この作品は、この1065通にのぼる古文書から葛川の住民だと思われる746人の名前を全て書き出したものです。



棚田の原風景


今は使われなくなって杉が生い茂ってしまった棚田の原風景を少し蘇らせようという作品です。崩れた石垣を陶土で作った石で補修し、石垣の内側には白い稲穂を配置しています。棚田と共に生きてきたかつての細川を思い浮かべてもらえればと思います。





作者プロフィール


アンソロポロジカル・アート・プロジェクトとは、文化人類学の視点でアートを制作するプロジェクトです。文化人類学ではプリミティブ・アートとよばれる領域の分析が行われてきました。このプロジェクトは、こうした従来のアート分析ではなく人類学の研究手法を援用し、アートという表現方法で文化人類学を実践してみようという試みです。今回は人類学者である鈴木と、陶芸作家である奥田がコラボしています。



http://repair-trom.blogspot.jp/


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