遺され村の美術展


阪田志穂


[作品名]   還らずの墓標



[作品紹介]

あまり知られていないが、ガラスの主成分は砂である。透明なガラスはどこにでもある砂の中から生まれてくる。しかし同時に、透明という姿と引き換えにして元の砂の姿にはもう二度と戻れなくなってしまった。

いきものの体は、その生を終えればいずれ土に還ることになる。
しかしガラスは違う。土の中に埋められようが、土に還ることはない。


ここにある誰もが一度は見た事があるようなどこにでもあるようなガラスコップ達も、
一生ガラスという性から逃れられず、ずっとガラスという物質として在り続ける宿命を背負っている。子供の頃遊んだビー玉も、百貨店で売られている何十万もするガラス工芸品も、みんな同じだ。

土に還れないということをガラス自身がどう感じているのか私にはわからない。
透明という特性を持ち、人々に美しいと称され、愛されるガラス達。
華やかなその身に隠れされた性を思うと、一抹の寂しさのようなものを感じずにはいられない。

このガラスコップ達は、森の倒木株の傍らで、ひっそりと眠り続けている。
遺され村の静かな森の中で、ガラス達が一時でもその性を忘れ、かつて砂としてこの地球の一部であった頃に思いを馳せられますように。どうかこの場所がガラス達にとって穏やかで優しいものでありますように。


[作家プロフィール] 

2017年 大阪芸術大学工芸学科ガラス工芸コース中退

何気ない日常にまぎれる、つい見過ごしてしまいそうなモノ。
あたりまえのなかの、あたりまえではないモノ。
ひとりのひとである私からみた世界のかたち。
そんなことを考えながら、油彩・ドローイング・写真・ガラスなど、
様々な素材・技法でのんびり作品を制作しています。


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[活動履歴]

2015
第7回竹内街道灯道祭(奈良)作品展示
I LOVE SAKE 日本酒マニアック博(大阪・梅田LOFT)作品展示

2016 
第58回大阪工芸展(大阪)作品展示
第9回ガラス教育機関合同作品展(東京・東京都美術館)作品展示
2016 大阪工芸展 受賞者展(大阪)作品展示・販売
タンブル・ウィード展(京都・Art Spot Korin)作品展示
East-West Artists Exchange Exhibition (イギリス・ロンドン)作品展示


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