遺され村の美術展


水野浩世


水野浩世 & 亜蛮人 「たゆたう命」 この廃屋は60年ほど前まで医者が住んでいたそうです。医師としても、また人としても信望は厚かったらしく、夜中でも往診に来て貰い世話になったという話を幾人かの古老から聞きました。小さな村ながらも臨終や出産など、命が明滅する現場に何度も立ち会ったことだろう。  家は今年の豪雪で半壊しました。屋根は崩れ落ち、床は抜けて畳が腐り、雨が降ると遠慮なく水が滴ります。その滴りを、その辺りで拾ったり村人に分けて貰ったりした古いガラス瓶で受けています。中にはビーカーやフラスコのようなものもあります。  山あいは雨が多く、人けのないこの廃屋にも雨の音だけが静かにこだまします。 雫を受けるガラス瓶の下にはLEDライトが仕込まれ、たゆたうように青く光っています。死に絶えた家の中で今も密かに息づく人の情念のように。

(文責 亜蛮人)



水野浩世

大阪府生まれ
大阪芸術大学を卒業後、知的障がい者施設にて絵画教室を始める。
障がいの有無に関係なく、制作する工程そのものを喜びにしていきたいと活動中。

2014年 アートスペース亜蛮人 個展
2015年gallerism参加
2015年ART FAIR ASIA FUKUOKA 出展
2016年gallerism参加


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