遺され村の美術展


COOLGUY


「トキノホネ」

 戦後間もなく、この村は現金収入を得るために西陣織の下請けを始めました。土間の一部や納屋の片隅に織機を据え付け、最盛期には村のあちこちで手機の音が聞こえたものです。そんな背景があってかバブル経済の頃に、ある繊維会社がこの地に西陣織の資料館を建てました。合掌造りの豪壮な古民家を移築したその建物は村に不釣り合いな立派な資料館でしたが、数年営業した後、バブル崩壊とともに閉鎖され、人手に渡り、放置され、茅葺部分は崩れ落ちて朽ち果てました。今はその一部が残っているだけです。 COOL GUYは朽ちてゆくもの、滅びてゆくものの美しさをいとおしむ作家です。この作品は古新聞古雑誌、ぼろ布などのゴミを二十数年の間、自宅の庭で陽に晒したり雨に打たせたりして色褪せさせ、朽ちさせたテクスチャーをビニールシートに貼り付けています。崩れかけた資料館の壁面で展示しながら、今もまた風雪に晒され、やがてこのまま壁と共に崩れ去るまで寄り添っていくのでしょう。

(文責 亜蛮人)



作家紹介へ戻る